韓国の大衆音楽が「K-POP」と呼ばれるようになったのはごく最近のことで、実はK-POPブームに繋がる新しい音楽が登場してきたのも、1988年に行われたソウルオリンピック以降になってからだ。映像は80年代の後半に活躍していた女性3人組のアイドルグループ「セットレ」。
80年代の韓国音楽と言えば、バラードやトロット(演歌)が主流。アイドル歌手はさほど充実してはいなかった。人気のロックバンドも存在はしていたが、大衆音楽という点では歌謡曲的な楽曲が幅を利かせていた。しかも、どこか日本の二番煎じ的な歌手が多かったのは否めない。
ソウルオリンピックを経て、90年代初頭に旋風のごとくデビューを果たしたのが、現在のK-POPに大きな影響を与えたとされる男性3人組の「ソテジワアイドゥル(ソ・テジと子供たち)」というグループだ。
80年代の韓国音楽と言えば、バラードやトロット(演歌)が主流。アイドル歌手はさほど充実してはいなかった。人気のロックバンドも存在はしていたが、大衆音楽という点では歌謡曲的な楽曲が幅を利かせていた。しかも、どこか日本の二番煎じ的な歌手が多かったのは否めない。
ちなみに、当時韓国では日本の大衆文化(映画、テレビ、音楽など)が法律で禁止されていた。カラオケ屋などで日本のポップスに触れる機会はあったようだが、公には日本の文化・芸能は有害なものとして扱われていたのだ。もちろん韓国人歌手が国内で日本の歌を歌うことは許されず、日本の歌手が韓国で歌を歌うこともまた決して許されない行為であった。次の映像はソウルオリンピック前に日本のアイドルグループ「少女隊」がリリースした「Korea」。
韓国政府はオリンピックが国際的な舞台であるからという理由で、日本の少女隊に「Korea~英語バージョン」を韓国の屋外イベント(TV生中継)で披露することを認めたのだが、これはまさに特例中の特例であった。しかし、実際にイベント会場で披露されたのは一部が日本語バージョン。一体誰が指示を出したのか…と物議をかもすこととなった。それでも、この出来事は「日本文化解放」に向けた大きな一歩になったとされている。
当時の韓国では一般的に浸透していなかった「ヒップホップ」を取り入れた楽曲を世に送り出し、ファッションや言動の一つ一つまでもが韓国の若者の心をがっちり捉える。「ソテジワアイドゥル」は国を動かす3人とまで呼ばれ、彼らに続けとばかりに様々なアーティストが登場していった。
次にご紹介する音源が同時期に人気を得ていた「キム・ゴンモ」と「Duex(デュース)」の代表曲。この頃からアイドルや歌手という捉え方ではなく、ファッションや音楽スタイルなど全てを網羅した「アーティスト」という呼び方が定着していく。
次にご紹介する音源が同時期に人気を得ていた「キム・ゴンモ」と「Duex(デュース)」の代表曲。この頃からアイドルや歌手という捉え方ではなく、ファッションや音楽スタイルなど全てを網羅した「アーティスト」という呼び方が定着していく。
そして、やはり90年代前半にデビューした女性アイドル「ハ・スビン」と4人組の「S.O.S」。日本のアイドルが歌う楽曲とどこか雰囲気が似ているが、韓国オリジナルの高品質女性アイドル(?)として人気を博していた。
「S.O.S」は93年、ゆーすけサンタマリアさんがMCを務めていたフジテレビの「アジアン・ビート」にレギュラー出演し、94年には日本でもCDを発売。現在の日本進出ブームの先駆け的存在とも言える。
さらに、90年代後半には男性ユニット「H.O.T」と女性ユニット「S.E.S」が登場。現在のK-POPにかなりテイストが近づいているのが分かる。こうした新時代のアーティスト達に刺激を受けたユニットが世紀をまたぎ続々と登場していった。
97年の「アジア通貨危機」をきっかけに韓国で制定された「文化産業振興基本法」により、海外進出を見据えたソフト開発に乗り出す韓国。2000年代に入り、まず日本での反応を得たのが「冬のソナタ」であった。音楽業界も負けじと様々なアーティストを育成し、BoA、東方神起などを日本の音楽界に送り込む。その流れが現在のK-POPということだ。
なお、日本文化の流入制限は90年代後半から段階的に解放されていったが、CDの販売が認められるようになったのは2004年、日本のテレビドラマに関してはいまだ地上波での放送は禁止されたままだ。日本で韓流ドラマが批判を横目に堂々と放送されていることを考えると何とも滑稽な話である。
何げなく聞くようになったK-POPだが、こうなったらトコトン聞いてみようと思っている。今から欧米の音楽を極めることは至難の業。まずは隣国を制覇(?)することから始めてみようではないか。
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